眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは上瞼が垂れ下がり、目を十分に開けられなくなる疾患です。瞼が黒目にかぶさり、視野狭窄や物が見えづらいなどの症状を示します。
眼瞼下垂は先天性と後天性に分類されます。
先天性眼瞼下垂は、生まれつき瞼の筋肉である眼瞼挙筋が弱い、あるいは神経に異常 があることが原因です。先天性眼瞼下垂は視力の発達に影響を及ぼし、弱視の原因となることがあるため、瞼が黒目にかぶさっている場合は早めに眼科を受診しましょう。
後天性眼瞼下垂は、加齢に伴う眼瞼挙筋の緩みが原因となることが多く、60歳以上の方に好発します。しかし、昨今はコンタクトレンズの長期間装用(特にハードコンタクトレンズ) が原因となるケースも増えており、40歳以上の方でも発症が認められます。
見え方のほか、眉間に横ジワができるなど外見上の変化も起こります。「最近、瞼が重い感じがする」など、何らかの違和感がある場合は当院まで一度ご相談ください。
眼瞼下垂の原因
- 加齢
- 白内障・緑内障・硝子体の手術後
- コンタクトレンズの長期間装用(特にハードコンタクト)
- 先天性
- 神経疾患(重症筋無力症 、動眼神経麻痺など)
このうち、加齢が原因の約90%を占めます。①~③については当院で対応できますが、④~⑤については提携先の専門の医療機関をご案内いたします。
※眼瞼下垂は10~30代での発症はほとんどありません。
40~50代に多いハードコンタクトが原因となる眼瞼下垂
昨今、ハートコンタクトレンズを長期間にわたり装用している方(約20年)に、眼瞼下垂の発症が認められることが多くなっています。2013年の京都府立医科大学の報告では、ハードコンタクトを装用していると方と装用していない方では、前者の方が20倍ほど発症リスクしやすくなると言われています。
以下のような仕組みで、ハードコンタクトレンズの長期間装用により眼瞼下垂が起こります。
- コンタクトレンズの厚みにより瞼の開閉に負荷がかかる
- コンタクトレンズを装着・外す際に、眼瞼挙筋に負荷がかかる
- コンタクトレンズを異物として認識し、眼瞼挙筋などに炎症が発生する
眼瞼下垂の原因としてハードコンタクトレンズが疑われる場合、付け外しの際はスポイトを使用する、ソフトコンタクトレンズに切り替える、ワンデータイプのレンズに切り替えるなどが有効な対策です。
重症化しており、瞳孔の半分以上が瞼によって隠れている場合は手術が必要となります。
瞼が重いなど、違和感を覚えたら早めに当院までご相談ください。
眼瞼下垂の主な症状
- 瞼が重い
- 目を十分に開けない
- 視野が狭窄している
- 眉間にはっきりとした横ジワができた
- 瞼が垂れて、頭上の物が見えづらい
- 物を見るときに顎が上がる癖がついた
- 「いつも眠たそう」と言われる
- 頭痛や肩こりが繰り返し起こる
眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の発症有無は、ある程度はセルフチェックできます。
判断が難しい場合は、指やテープを使って瞼を持ち上げましょう。視野が広がり見えやすくなった場合、眼瞼下垂の疑いがあります。当院に一度ご相談ください。より詳しい検査を実施して診断を確定します。
眼瞼下垂の治療
眼瞼下垂は薬物療法では効果が期待できません。生活習慣の改善により多少は進行を抑制できますが、根治には手術が不可欠です。なお、手術は基本的に入院が必要なく日帰りで行えます。
特に先天性眼瞼下垂は、視力の発達に影響を及ぼし、弱視の原因となることもあるため、早急に手術を行うことが必要です。お子様の手術は基本的に入院を伴うため、入院設備の整った医療機関をご案内します。
後天性眼瞼下垂の場合、視覚障害の程度、外見上の変化の程度、手術のメリット・リスクなどについてしっかり相談した上で、手術の実施有無を決めていきます。
手術方法
皮膚・眼輪筋切除
加齢などに伴って皮膚が弛緩したことが原因となる場合に有効な手術法です。
弛緩した皮膚を切除することで、たるみを改善します。
ミュラー筋タッキング
ミュラー筋とは、上眼瞼挙筋の裏にある筋肉で、瞼を持ち上げる役割を担っています 。
ミュラー筋タッキングは、ミュラー筋を挙筋腱膜から剥がし、ミュラー筋をたぐりよせて(タッキング)瞼板に固定する手術です。ミュラー筋のみを利用するため、術後は自然な仕上がりになります。
皮膚・眼輪筋切除+ミュラー筋タッキング
症状に応じて、皮膚・眼輪筋切除とミュラー筋タッキングを併用して手術を実施することもあります。